平成24年8月


8月31日(金)

●14世紀終わりごろに成立した書物『庭訓(ていきん)往来』に、諸国の名産品として「宇賀昆布」が登場する。現在の函館市志海苔地区で採れたマコンブで、室町時代には広く流通していたことがうかがえる▼江戸時代には「献上昆布」として最高位となり、現在は南茅部の白口浜、恵山の黒口浜などが有名。そして健康にいいフコイダンを多く含むガゴメコンブが、全国から注目されている▼そうした歴史や生態が学べる、七飯町峠下の「北海道昆布館」の入館者が1000万人を突破した。1993年5月の開館から20年かけての到達。函館市の年間観光客のほぼ2倍、日本の人口の1割近くが訪れた、道南有数の観光・物販施設だ▼だしや昆布巻きなど、料理のわき役と思いがちだが、訪れてみると、なかなか食材として魅力的なことが分かる。海藻サラダや松前漬け、とろろ、お茶、しょうゆ、あめ、ゼリーなど、間口が広い。併設するミュージアムでは映像や展示でコンブの魅力を伝える▼日本中世の名産は現在も函館の漁業の主力産品だ。ガゴメは潜在能力が高く、浜の未来を切り開くかもしれない。そうした魅力や可能性を発信してくれる昆布館の記録を祝いたい。(P)


8月30日(木)

●介護保険制度が始まって12年。行政などの体制は整い、介護士が職業として定着し、新たな保健施設も次々と誕生している。支援や介護の認定を受けた人への対応だが、入居に順番待ちの施設も少なくない▼そうした現実の中で、認知症が国の予測を上回って増えている。各紙が報じていたが、厚労省が要介護認定データを基にはじき出した認知症高齢者は、推計で65歳以上人口の10人に1人の305万人▼しかも、過去10年の増加数は2倍以上。その背景には、認知症の啓発が進んだこと、認定受診者が増えたことなどもあるが、要は埋もれていただけ。こんなに多くいた、という現実が否定されるものではない▼将来はさらに増えることが必至。同省の予測でも2015年には345万人、2025年には470万人。甘かった。10年前の予測と現実が100万人も狂っていては、対策が追いつかないのも当然▼人生60年、70年とも言われた時代もあるが、今や80年。女性の86%、男性の72%が75歳まで生きる時代である。健康寿命と平均寿命の差の約10年をどうケアしていくか。国は新たな認知症対策を進める方針だが、万全を…そう願わずにはいられない。(A)


8月29日(水)

●高1の孫娘は「ウザい」「しつこい」と言われ怒っている。こんないじめは日常茶飯。大津市の中2男子が自殺した問題で生徒対象のアンケートに「葬式ごっこ」の記載もあったとか…▼気になるのは、対応に当たっていた市の教育長が大学生にハンマーで殴られた事件。逮捕された大学生は「殺すつもりだった」と供述。さらに「よくやった」と大学生を擁護するメールがあったという▼深刻ないじめを放置し続け、警察による家宅捜査という異常事態にとまどう教育現場。市教委の代表ということで襲われ、大学生の行為が称賛されるなんて。こんな“異様な思考”に振り回されてよいのだろうか…▼有識者による調査委員会では「生徒からの聞き取りが必要」との認識で一致…。しかし「いじめ追放」には地域の協力や活動が欠かせない。5年前に函館の高3男子が集団暴行を受け死亡した東富岡町会が立ち上がった▼町内には高校生が暴行を受けた2つの公園があり、惨事があった8月26日を「いじめをなくす決意の日」と定め、具体策などを明記した「子ども未来をはぐくむ条例」の制定を市に要望。子どもを見守り、いじめの根絶を願う活動を続けている。(M)


8月28日(火)

●先週、2人のアームストロングさんが世界中で大きな話題となった。分野は違うが、その道を極めた人物たちだ▼一人は元宇宙飛行士のニール・アームストロングさん。アメリカ人。アポロ11号の船長として、人類で初めて月面に立った。「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」との言葉は余りにも有名▼引退後もNASA(米航空宇宙局)で勤め、退官後は大学教授などとして活躍した。そのアームストロングさんが25日、亡くなった。「生ける伝説」は本当の「伝説」になった▼もう一人は、不名誉なニュースで脚光を浴びた。元自転車プロロードレーサーの米国人ランス・アームストロングさんだ。世界最高峰とされるツール・ド・フランスで7連覇を達成したスーパースター。禁止薬物使用があったとして、24日、全米反ドーピング機関から「ツール・ド」を含む全タイトル剥奪と競技からの永久追放を言い渡された▼ランスさんはがんを克服した経験があり、患者支援でも活動。歌手シェリル・クロウと婚約—婚約破棄するなど私生活でも話題の人だった。輝かしいキャリアが地に堕ちてしまうのか—。注目している人は多いだろう。(T)


8月27日(月)

●日本人の精神美意識に「引き際の美学」がある。自分で辞する機会をどう判断するかだが、これが簡単なようで、難しい。それなりの地位や立場を得た人にとっては特に。誤った姿は珍しくない▼一時(いっとき)でも居心地の良さを味わうと、その場から離れ難くなる。成績や体力面で限界を自覚できるスポーツ界などは別として、例えば政界となると「もう少し」「まだやれる」という思いを捨て切れない▼その結果は…「辞めていいのでは」と邪揄され渋々身を引くか、選挙で引導を渡されることに。その逆は「まだやってほしいのに」という思いを抱かれながらも頑として辞する姿だが、自ずと重みが違う▼往々にして多いのが前者であり、培ってきた功績にも傷がつきかねない。逆に後者は潔い印象を与えるから評価も高まる。そうと解っていても…。政界再編成の動きとともに、解散総選挙が一人歩きを始めている▼既に引退を表明した政治家がいる一方で、出馬「しない」を平気で「する」に変えた政治家も。果たして何人が「引き際の美学」を見せてくれるだろうか。そして、その姿はどう見極められるだろうか。鍵を握っているのは有権者。下調べは今からで少しも早くはない。(A)


8月26日(日)

●「適」は、一般的には「てき」と読むが、もう一つ「かな(う)」という読み方も。「条件や基準などに合致し、十分に満たす」意味だが、この「適」がつく言葉は多数ある▼「適当」「適応」「適宜」「適量」「適格」「適合」など。まだあるが、いずれも無意識のまま日常的に使っている。それも意外と軽々しく。「適当に頼むよ」「適宜よろしく」などは解りやすい例だが、実は…▼受けるニュアンスとは裏腹に「適」が本来、持つ意味は重々しいもの。「正しく」「きちんと」「ほどよく」という思いがにじむ言葉であるから。例えば「適当」は「ふさわしいこと」という意味であり、妥当や順当に通じる言葉▼さらに「適応」は当てはまる、「適宜」はほどよい、など。だから対義語は「不適」や「不当」などとなるのだが、現実に目を移し、今「適当」でない姿と言えば我が国の政治。十分に満たされていない▼震災復興は、経済対策は…なのに政局一辺倒。加えて尖閣諸島など領土問題を巡る対応もお粗末。尖閣では逆だったら、頭を下げて引き取りに来い、と求めたはず。竹島では首相の親書を送り返され受理する始末。真の「適当」の政治を…切にお願いしたい。(A)


8月25日(土)

●♪ダッ!ダッ!脱・原発!覚えておこう被害の大きさ 大地と海 二次災害 人の心にまで〜 勢いを増す脱原発デモでアイドルグループの制服向上委員会が歌った「反原発の歌」▼♪原子力は要らねぇ 危ねぇ〜 チェルノブイリ原発事故から2年後、「ロックは反体制」を自負した忌野清志郎さん作詞の「サマータイム・ブルース」も脱原発デモのテーマソングに復活。若い母親や高齢者も叫ぶ▼♪モスラよ蘇れ 力強く我らを守れ 平和を守れ〜 半世紀前に、双子デュオのザ・ピーナッツが小美人役で出演した映画でインドネシア語で歌った。南方の島々が原水爆の実験場になり、放射能に汚染された島民たち…▼政府は10年度現在で26%の原発の比率を30年までに「0%」「15%」「20〜25%」にする3案を示し、国民の声を聞いたところ、約7割が「0%」を支持している。世論は脱原発へ大きく地殻変動を起している▼放射能で苦しむ南国の島民たちは、巨大な胞子植物から採った「赤い汁」を飲み、身体に塗って放射能から身を守った。「人の心にまで」むしばむ放射能の防除法「赤い汁」はないものか…。「脱原発の歌」は高まるばかり。函館も“対岸の原子炉”が怖い。(M)


8月24日(金)

●日本人が過去最多のメダルを獲得し、予想以上の盛り上がりを見せたロンドン五輪。次回はブラジルのリオデジャネイロが開催地だが、その次(2020年)の夏季大会がどこで開かれるかご存知だろうか▼答えは「まだ決まっていない」。来年9月のIOC総会で3つの候補地から最終決定されるのだが、その中に東京が含まれていることが意外にも忘れられがちだ▼「東京は落選したはずでは?」と思われる人も少なくないだろうが、3年前の騒動は、2016年の開催招致レースに敗れたもので、今はリベンジマッチの真っ最中▼五輪招致にもっとも執念を燃やしているのが、石原慎太郎東京都知事。日本の飛躍につながった1964年大会の夢再びと、20日には銀座中央通りでロンドンのメダリストによる凱旋パレードを行い、50万人の観衆を前にPRを展開した▼それでも、一般市民の五輪開催への関心はまだまだ低い。思えば2004年の開催地、ギリシャは経済破綻(はたん)。08年の中国も経済成長が鈍化。イギリスも、経済回復の兆しが見当たらないのが現状。純粋に「日本の地で世界の一流アスリートの活躍を見たい」という声がどれだけ高まるかがカギとなりそうだ。(U)


8月23日(木)

● 激しい内戦が続くシリア。死者は2万3000人に達し、難民は15万人を超えた。北部の都市で日本人の女性ジャーナリストが銃撃戦に巻き込まれて死亡した▼シャッターが閉ざされた通りを歩く家族連れ、ベランダに立つ住民たち、父親に抱かれる赤ちゃん…「かわいい」と声をかけ、「空爆が続いているのに人が生活している」と話す山本さんの肉声が入った4分39秒の最後の映像▼「戦闘ではなく、戦争で苦しんでいる市民のことを伝えるための取材」が信念。イラク、アフガニスタン、コソボなどの紛争地域を15年以上も取材活動。帰国して子供たちに平和の尊さを説いていた▼命を落とす戦場の取材。国際NGO「国境なき記者団」によると、今年に入って死亡したジャーナリストは60人を超す。山本さんはイラク戦争で、攻撃の衝撃や血みどろのホテルを取材、軍の攻撃を「犯罪」と糾弾していた▼いつも山本さんの周りには子供がいた、母親がいた。同僚の「街を封鎖している」に「みんな逃げている」とリポートした直後、パンという銃声で映像は止まった…。「このマチは戦場だから、遠くで見つめているマドンナ」の歌が聞こえてくる。早く双方が停戦に踏み切ってほしい。(M)


8月22日(水)

●日本列島、今年の夏は猛暑…8月も下旬というのに、関西以北ではなお30度を軽く超える日々。節電が求められる中、体調管理も大変で、気をつけていても熱中症に見舞われる人が多い▼消防庁が発表した7月の熱中症患者(搬送者)は、全国で2万1082人。37人が亡くなり、入院重症者は476人。ちなみに昨年の7〜9月は3万9489人を数えたというが、今夏は4万人超えか▼熱中症が言われ始めたのは1995年ごろ。そう、かつては日射病という言い方が一般的だった。それに熱疲労、熱暑病などを加えて総称したのが熱中症。多いのは熱射病といい、症状は脱水や血圧の急低下など▼それにしても月間で2万人も数えるとは。気密性の高い住宅が増え、一方でヒートアイランドなど都市環境の変化が背景にあるようだが、まずは対策を講じなければ。とは言っても自衛だが、大事なのは水分の補給▼さらには室温のこまめなチェック、適度の休憩、バランスある食事など。特に配慮が必要なのが高齢者。7月も搬送された人の45%が65歳以上だった。夏に要注意と言えば熱中症と食中毒…他の都府県に比べ涼しいとはいえ、北海道も例外でない。(A)


8月21日(火)

●史上最多38個のメダルを獲得したロンドン五輪。華やかな閉会式も終わり、「兵(つわもの)どもが夢のあと」のような虚脱感を味わっていたが、再び興奮がよみがえった。20日に行われたメダリスト71人による東京・銀座のパレードだ▼東京でもこれほどの群衆を目にする機会はそうない。2階建てのオープンバスから手を振るメダリストたちも「すごい」を連発。苦しい練習や過酷なプレッシャーを克服し、栄冠を勝ち取った「ご褒美」としては十分の喝采だっただろう▼熱気のパレードを見ていて、ふとメダルに届かなかった選手たちの顔が浮かんだ。まずはバドミントンの佐々木翔選手(北斗市出身)。世界ランク1位の林丹(リンダン)選手にフルゲームの末、惜しくも敗れた。重量感のあるスマッシュ、粘り強いレシーブ。どれをとってもメダリストとそん色なかった▼金メダルゼロの柔道男子。負けて「すみません」とうなだれた選手。代表の責任の重さが伝わってきた。サッカー男子は、3位決定戦で敗れたが、将来性を感じさせた▼スポーツは勝つことだけが全てではない。敗者が残す感動もオリンピックの素晴らしさであり、醍醐味でもある。リオ五輪がもう楽しみだ。(T)


8月20日(月)

●札幌の食品会社が製造した浅漬けが原因の腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒事件は、死者7人、発症者100人以上と広がりを見せている▼人や家畜の大腸菌のうち、人に下痢などの合併症状を起こすものを「病原性」と呼び、さらにその中で、毒素を産み出し出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすものを「腸管出血性」と呼ぶ。1982(昭和57)年にアメリカで発見されたのが最初というから歴史は意外に浅い▼厚生労働省のホームページによると、腸管出血性大腸菌による食中毒は、日本では年間10〜30件、患者数は100〜300人。札幌のケースの患者数が異様に多いことが分かる▼過去の原因食品として挙げられるのは、井戸水、牛肉、牛レバー刺し、ハンバーグ、カイワレ大根、サラダなど多数。安全なものはない。人から人への二次感染もある。手洗い、加熱、消毒などを徹底するしか確実な予防法はない▼道南は問題の浅漬けの流通経路からは外れていたが、油断は禁物だ。特に函館は海産物などの「グルメ」が地域の財産。今回の事件を他山の石として、あらゆる食中毒対策の基本に立ち戻らなければ—。ここが“震源地”となる可能性は常にある。(T)


8月19日(日)

●最近、毎日チェックするホームページがある。米航空宇宙局(NASA)のサイト。6日、火星に到着した探査機「キュリオシティー」から画像が連日届いている。リアルな火星の姿に驚きの連続だ▼砂漠のように赤茶けた大地のかなたに、山々の連なりが鮮やかに映し出されている。一見して地球と見間違う光景。地球と火星は兄弟星だというのがよく分かる▼NASAのサイトは探検しがいがある。まずミッションの数が多い。どれも報道発表とほぼ同時にニュースがアップされる。宇宙好きにはたまらない内容ばかりなのだ▼スペースシャトル・コロンビア号が空中分解し、その2年後にシャトル運航が再開した2005年には、人気SFドラマ「スタートレック・エンタープライズ」に出演中の俳優が、NASAサイトに動画で登場し、「より強力で安全なフライトに戻る」と語り掛けた。ときにサプライズ演出があるのもたまらない▼さてその「キュリオシティー」。日本語だと「好奇心」という名を与えられた最新鋭の探査機は、これから火星で生命の痕跡を探す。もし見つかれば、人類史(太陽系史?)に残る大発見。サイトから目が離せない日が当分続きそうだ。(T)


8月18日(土)

●古戦場という響きは、哀愁とともにどこか郷愁を感じさせる。目を閉じると蝉しぐれに緑の濃い田園風景が広がるような合戦の舞台。芭蕉が「夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡」と詠んだ岩手県平泉も、夏の日差しと深い緑が似合う▼奥州藤原氏が12世紀に築いた平泉。戦乱の犠牲者を供養し、仏が住む平和な国を願い、中尊寺や毛越寺を建立した。みちのくで開花した浄土思想は、約900年の時を経て世界遺産に登録された▼本紙連載「世界遺産への道のり」で紹介した通り、平泉は昨年6月の世界遺産の登録後、観光客が4割ほど増えた。震災で激減したが一気に取り戻し、土産店の新規開店もあった。人口8500人足らずの町に、確かな経済効果をもたらしている▼北東北と函館など道南地域でも、2015年度の縄文遺跡群の世界遺産登録を目指している。北海道新幹線が新函館まで開業する年で、広域観光や文化振興への期待が高まる▼平泉は約100年にわたり繁栄。片や縄文時代も争いがなく、約1万年続いた。高い精神性と、自然の中で生活を完結させた「縄文」が、殺伐とした現代社会で見直されている。先進地から多くを学び、登録運動を進めたい。(P)


8月17日(金)

●ロンドン五輪で韓国のサッカー選手が日本戦のあと「独島(竹島)は我々の領土」と書いたボードを掲げた。北方領土にしても、竹島にしても、尖閣諸島にしても「日本は弱腰外交」といわれて久しい▼韓国大統領がヘリで竹島に上陸し、監視所や宿舎などを視察、警備隊らを激励した。サッカー選手は大統領の上陸に呼応したのか…。政治や宗教を持ち込まないというオリンピック精神に反する▼逆に韓国選手のボードは、日本固有の領土を韓国が不法占拠している事実を世界に知ってもらう“効果”もあるのでは。日本は国際司法裁判所で決着するよう提訴する。中国紙は「中露韓共同で日本に対処」とけん制▼北方領土を実効支配しているロシアの首相は国後島の住民対話で「領土は一寸たりとも渡さない」と言明。スイスの13人がロシアのビザを取得して国後島を観光中。ロシア人のビザなし交流も観光旅行化▼ビザなしで色丹島を訪れた高橋はるみ知事は「幅広い日本人が(交流に)関与することが大切」と交流のあり方を強調。わが国の領土だから日本の首相も堂々と上陸してもよいのでは。2島返還させ、2島は継続交渉でもいい。今月は北方領土返還全国強調月間。(M)


8月16日(木)

●お盆休みが終わった。テレビのニュースでは、毎度おなじみの高速道路の渋滞が報じられた。30キロ、40キロというすさまじい渋滞距離をみるにつけ、北海道の快適さを痛感する▼移動手段として車が便利なのは否めない。移動時間に自由が利くし、荷物を持ち歩く負担も少ない。公共交通機関はもちろん重要だが、車社会が簡単に後退するとは思えない▼その車は日進月歩で進化している。最近のトレンドは低燃費化。少し前だと、1リットル10キロが、高燃費、低燃費の心理的な境目だったが、今は普通車でも15キロを超える車が次々と発売されている。ハイブリッド車は猛烈な勢いで浸透し、電気自動車も増えつつある▼さらに、研究は先を行く。愛知県の豊橋技術科学大学は、自動車のタイヤ送電実験に成功した。路面に埋め込んだ電源板から、タイヤを通じて高周波電流を送ったのだ。実用化されれば、まさに「電車」。電気自動車の蓄電池が小型化される▼アメリカのライス大学は「塗る蓄電池」を開発した。車体をバッテリーの一部にできる驚異の技術だ。ひょっとすると、10年後の車社会は今とは全く違った形になっているかもしれない。そのくらい技術革新の“足”は速い。(T)


8月15日(水)

●「時代の要請」「時代の流れ」という表現をよく耳にする。世の中は常に変革を繰り返し、進歩する…それは表に出る動きであったり、価値観であったりするが、聞くのは確たる説明をしかねる際など▼本紙は8月から文字の大型化に踏み切った。活字出版物に共通する動きで、急速に進んできた。新聞は15段、1段の文字数15字組みという時代が長かったが、1990年代には1段の文字数が一挙に13字組みへ▼ほどなく12字組み時代を迎えた。そこで生じたのが文字の大きさと段幅のバランス。「読みやすさ」の追求から、3年ほど前には15段組みの歴史にも風穴があき、本紙も現在の12段、1段13字組みに▼大雑把に文字拡大の歩みを振り返ったが、さらに今回、12字組みへ踏み切った。変更前と見比べると、紙面が変わった印象を受ける。新しい文字の基本サイズは縦3・40㍉、横4・31㍉。面積にして24%大きくなっている▼なぜ文字拡大なのか。先ほどの「読みやすさ」はその原点だが、一方で疲れ目への配慮も。高齢化の時代で、読者の年齢幅も広がっている。まさしく「時代の要請」への対応であり、「時代の流れ」。ただ、これ以上大きくなることは…今、その予感はない。(A)


8月14日(火)

●より速く、たくましく、美しく。ロンドン五輪で熱戦を繰り広げた日本選手団は、過去最多の38個のメダルを獲得。お盆で帰って来た先祖も「よくやった。おめでとう」▼真夏の8月は追悼の月。原爆製造計画にかかわったオッペンハイマーは、広島・長崎への原爆投下を「科学者は罪を知った」と悔やんだという。原爆の破壊力、焼けただれた身体…平和記念パネル展に目を覆った▼戦後の途方もない数々の死、焦土化した街々、目前の惨禍に虚脱感…。「戦争は嫌いだ」「核をなくし、平和でありますように」という子供たちのメッセージが胸を打つ。福島原発の事故が放射能の恐怖を身近なものにした▼線香に揺れる無常感…。亡き人を偲び、命の尊さや欲にしばられない生き方を先祖に教えてもらうのがお盆。迷い苦しんでいる子孫を心配し、ともに喜び、悲しみ、いつも傍で勇気を与えてくれる▼福島原発の原因が究明されないまま、大飯原発が再稼動した。論議が尽くされないまま「負担に耐えろ」と消費税増税法案が成立した。お盆に帰って来た祖先は「国民を無視し国民が汗して納めた税金を無駄遣いする政治家の罪は重い。地獄に落ちる」と警鐘。15日は「終戦の日」。(M)


8月13日(月)

●先週、苫小牧市で全国高校選抜アイスホッケー大会が開かれた。昨年長男が出場した大会だったので、卒業後も結果が気になった。今年も全国各地から高校とクラブの計28チームが出場した▼日本のアイスホッケーはマイナーだ。競技場所が限られ、選手人口は少ない。だが、全国大会となると、選手・指導者、競技役員ら数百人人が最低でも数日滞在する。応援の父母も加わるので、この倍近い人が開催地にやって来る▼アイスホッケーは全国大会の開催地を固定して“聖地化”する取り組みが定着している。小学は軽井沢(長野県)、中学は釧路市、高校は苫小牧。五輪を狙える位置にいる女子は帯広市で開催している▼大会運営には多大な労力とグレードの高い設備が必要となるが、延べにして万単位の人たちがもたらす経済効果は小さくない。“聖地”4大会をすべて観戦し、スポーツと観光は親和性が強いと痛感した▼函館・道南には、競技のほかに思い出をプラスできる観光要素がたくさんある。これは大きな強み。“聖地”として認知されるような大会や合宿の誘致は、確実な団体客対策として有望だ。個人客のように景気や流行に左右されることもない。(T)


8月12日(日)

●先日、函館駅前の屋台村「大門横丁」を訪れた。これまで、飲み会の流れで単独の店を訪れたことは何度かあったが、この日は横丁常連の友人の案内で、お勧めの4件をはしごし、大門横丁の魅力をたっぷり堪能した▼驚いたのは、それぞれの店の料理やお酒の質の高さ。極上のパテを出すフランス料理店。タンシチューまでメニューに載せているおでん屋。客の雰囲気に合わせてオリジナルカクテルを提供するバーなど、単独でも十分に人気を集めそうな店が密集する▼他の店からの出前などもかなり自由に行うことができ、一度この場所に落ち着いてしまえば、あれこれ店を探す手間なく、多種多様な極上の料理とお酒を、抜群のコストパフォーマンスで満喫できる▼こんな素晴らしい場所を観光客に独占させるのはもったいない話。しかし郊外から足を運ぼうと思っても、帰りの代行車やタクシー代を考えると、ついつい近場で用を足してしまうのが現実▼そこで駅前のホテルなどでは、大門横丁を利用した人に、安い値段で宿泊できるプランを検討し始めているという。年に数回でも、ちょっとぜいたくな気分で大門横丁一泊ツアーを楽しんでみるのはいかがだろうか。(U)


8月11日(土)

●「近い将来」と「近いうち」。今まさに焦点の言葉だが、国語解釈的には同じ意味とは言えないが、諸情勢を踏まえると、どっちもどっち。確約でなく、都合がいいように解釈できる点で違いはないから▼社会保障と税の一体改革関連法案。結局は政局の道具にされて…。衆院の解散時期を巡って、民主や自民など3党の落としどころとなった表現が、後の「近いうち」。「近い将来」はだめだが、これならいい、と▼その違いが物議を醸しているが、ニュアンスで言うなら「近いうち」の方が、より早く時期がきそうな印象。だが、いずれも逃げ表現であり、そう考えると、差はほとんどないに等しいということに▼勝手な受け止め方ができるという点でも共通している。となれば、永田町劇にとっては妥協の表現、これ以上の要件を備えた台詞はない。案の定というか、民主と自民は「今国会中を意味する」とか「近いに意味はない」とか…▼「近いうち」は、我々もよく口にする。例えば「近いうちに会おうや」だが、往々にして「そのうち」になりがち。今回の「近いうち」の答えは、早晩分かることだが、少なくとも…。政治課題山積の今、政局ごっこや言葉遊びをしている場合ではない。(A)


8月10日(金)

●子供の頃、垂直に飛び上がるヤンマトンボを追った。ハネの先端に飛翔中に不規則な振動を調節する「縁紋」があり、上下左右に自由に飛び回ることができるという。竹トンボも最初は垂直に飛ぶ▼沖縄に配備される米軍の垂直離着陸機オスプレイは、水面上でホバリングして獲物を狙う英語名のミサゴからとった。12機が岩国基地に陸揚げされ、全国6ルートで低空の飛行テストが予定されている▼開発段階から死亡事故が続出。10年間で40人が死亡。今年も4月にモロッコで、6月にフロリダ州で墜落。パイロットの操作ミスとも言われるが、沖縄をはじめ全国では、欠陥機だとして配備反対の大合唱▼試乗した森本敏防衛相は機から降りて開口一番、「大変快適だった」「想像以上に飛行が安定していた」と無神経なリアクション。わずか1、2時間のフライトで死者まで出た事故が払拭できるはずがない▼「安全性が確認されるまでは飛ばさない」(米軍)は当然。火星に探査機を着陸させる技術を持つ米国ならプロペラを縦にしたり、横にする安全な転換モードを作れるはず…。ヤンマトンボでさえ、不規則(有害)な振動をコントロールする縁紋を持っている。(M)


8月9日(木)

●函館駅前で約15㍍の間に250人はいると思われる写真が、8月5日の本紙にあった。2日に行われた東京ディズニーリゾートパレードの見物客である。取材者は「函館で、花火と日本ハム戦以外で初めて見た人の多さ」と話す▼この写真からだと、約1㌔のコースには2万5000〜3万人が集まった計算になる。市は見物客を数えていないため実際は不明だが、近年のイベントとしては驚異的な数だ。あらためてミッキーらの力を感じた▼一方、入場者数が寂しくなっているのは、今年25回目を迎えた「函館野外劇」だ。関係者によると、今年はこれまで10回公演し、入場者は約6000人。残り2回が満員になっても、4年ぶりの1万人台は難しい▼入場者が伸びないのは全国的な知名度不足、それを補うPRも財政面で困難であることは否めない。かつては70%が市民のリピーターだったが、これに頼るのも限界がある▼五稜郭を華やかな照明で彩ることで好評だが、最大の魅力は、地域に誇りと愛着を持った出演者とスタッフが手作りで、先人の情熱と思いを伝えていることだ。残る公演は10、11日。函館のマンパワーを肌で感じ、活力をもらうために観劇を。(R)


8月8日(水)

●今では常識となったスポーツ時の水分補給だが、筆者が子供のころは「水の誘惑に負けると上達しない」という精神論で飲ませてもらえなかった。それでも選手たちは不思議と倒れなかった▼あれから30年以上…。ロンドン五輪を見ても、選手たちは水分補給を欠かさない。人間の体の約60%が水分で、体重の2%の水分が失われると脱水症状になるとされる。さらに進行すると熱中症などに至り、生命の危険性もある▼全国的な猛暑の中、函館市でも熱中症とみられる救急搬送が続いている。今夏は7月30日までに25人で、体温調節がうまくいかない高齢者が多いという。幼児も注意が必要で、重症患者は野外より屋内で発生しているという統計もある▼背景の一つに、今やライフスタイルとなった節電があり、節電熱中症という言葉も生まれた。クーラーがあるのに我慢して結局、運び込まれるケースだ。節電を頑張りすぎて命を失ったら元も子もない▼五輪に夏の甲子園と、熱い夏はまだまだ続く。寝不足も熱中症の要因になるそうで、要注意。水分補給と暑すぎない環境づくり、睡眠を心がけ、仕事にスポーツにレジャーに、快適な北海道の夏を楽しみたい。(P)


8月7日(火)

●政治のつけは民間に、そして国民に…少しも珍しいことでない。その度に政治不信は増幅する。辻褄合わせの対応でしのぐ…増税然り、年金然り。今、また一つ解りやすい新たな事例が▼企業に「希望する全員を65歳まで雇用せよ」という義務づけである。発端は将来見通しの誤りや無駄な投資など年金政策の失敗。なお高齢になった時の生活基盤をうたってはいるものの、財源確保は赤信号が点滅している状態▼結局、給付額の削減や受給年齢の引き上げを求め、受給開始は65歳に。国はどう対策を講じるのかと思いきや、出してきた答えは、その年齢まで企業で雇用してください、という法による押しつけ▼衆院の厚労委員会は1日、改正法案(高齢者雇用安定法)を可決した。若者の雇用環境が厳しい時代に、高齢者の雇用延長が義務づけられるとどうなるか。さらに大変になるほか、年金財政にも影響が及びかねない▼ほかにも問題が。例えば…企業は配転や給与という武器を行使したら。合法的に自ら辞める方向に誘導することなど難しくない。となると、この改正案の意味はないに等しいとなりはしないか。それでも「手だてを講じた」と強弁されてはかなわない。(A)


8月6日(月)

●ロンドン五輪で、バドミントン女子ダブルスの「フジカキ」が銀メダルを獲得した。敗れはしたが、決勝戦の第2ゲームで3度のマッチポイントをしのいだ大熱戦に胸が熱くなった▼30年も前だが、高校時代はバドミントン部。3年生の高体連で、団体戦の南北海道決勝まで進んだ。1—1で迎えた最後のダブルスが自分たち。勝てばインターハイだ▼相手は単を制した3年生が入ったペア。第1ゲームを簡単に落としたが、第2ゲームは好調で連続ポイントで最大8点差をつけてリード。しかし、そこから猛烈に追い上げられ競り負けた。不完全燃焼に悔いが残った▼五輪決勝でも、「フジカキ」が試合をひっくり返す勢いだったが、中国ペアが再逆襲した。状況は自分のときと似ていた。だが、4度目のマッチポイントを握られたあと、信じられない光景を見た。藤井選手が笑顔を見せたのだ▼あの土壇場で普通は笑えない。平常心、集中力、そして何よりプレーを楽しんでいた。だからこそ、後がない場面で実力を出し切ることができたのだ。自分はゲームを楽しめたか—。力を出し切れずに負けた理由がやっと分かった気がした。(T)


8月5日(日)

●空路、海路、陸路…陸路には鉄路と道路があるが、最も身近な存在と言えば道路だろう。日常的に依存度が高く、利用頻度も多い。産業基盤であり、生活基盤とも言われる故もそこにある▼地域間を結ぶ幹線は特に重要。整備されず、ぜい弱なままだと、時に渋滞、災害時には通行不能となりかねない。長年にわたり国道5号だけを頼りにしてきた道南には、何度か苦い経験がある。その不安が解消されようとしている▼高速道路の整備が、あと一歩のところまできたから。道央自動車道・森—大沼公園間の開通日が11月10日と決まった。残る未開通区間は大沼公園—七飯の間10キロだけ。もはや時間の問題である▼本紙が創刊した1997年は洞爺までだった。その年の秋、長万部まで延び、その後、国縫、八雲、落部間が次々と開通し、昨年11月には森まで。洞爺と大沼間の開通に要した年月は実に15年…▼時間はかかったが、ここまで整備が進んだ意義は大。幹線が二重化されたことで、交通量の緩和に加え、利用者には選択権も。大沼公園が高速区間となったことで観光面にも厚みが加わる。高速交通新時代…大沼公園までの延伸は、そう言える現実の到来を告げている。(A)


8月4日(土)

●環境に順応、鋭い感覚、スピード、持久力、闘争心…。円山動物園でオオカミの双子の赤ちゃんを見てきた。じゃれ合って、かわいい。母親は鋭い目つきで双子を見守っていた▼女性の愛称に「オオカミ」と付けられたのが柔道女子の松本薫選手。野性味あふれ、鋭い眼光で相手をにらみつけ、人並みはずれた闘争心。気迫で相手を追い詰めて、ロンドン五輪で金メダルを獲得した▼鼻に右肘、足首…。毎年のように負傷。6年前の世界ジュニアでは鼻骨を折ったのに「死んだわけではない」と鼻に綿を詰めて試合続行。ロンドンにはカッとなる闘争心を抑えて「野生を飼いならし」挑んだ▼今度の五輪は判定などを巡ってモヤモヤとイライラが漂う。バドミントン女子ダブルスで韓国の2組と中国、インドネシア各1組の4ペアが無気力試合を行ったとして失格処分になった。決勝の組み合わせが有利になるようなプレーで▼松本選手の「オオカミの眼光」は外国選手の「変則柔道」や「試合放棄」に対する警鐘だ。「勝利に向けて最善を尽くさなかった」プレーは「参加することに意義がある」の精神に反する。今夜も正々堂々と闘う日の丸選手を応援しよう。(M)


8月3日(金)

●鉄棒で4つの離れ技のうち、最後のコールマンを抜いた。驚いた。あの強気な内村航平が慎重に、安全策を取った。しかし、それでも他の追随を許さない。圧倒的な強さでロンドン五輪男子体操の個人総合で金メダルを獲得した▼五輪には魔物がいる。世界選手権3連覇中の内村は昨年12月、いち早く五輪代表に内定。大本命として金を当然視されたが、その期待はやはり相当な重圧となったろう。男子団体予選では、得意の鉄棒とあん馬でまさかの落下をした▼それを見事に調整。航平の名の通り、航空機のように美しく、華麗に宙を舞い、磁石がついているという足でぴたりと着地を決めた。2位に1・659点差をつける圧勝劇だった▼個人総合は具志堅幸司氏以来28年ぶりの金だが、当時は旧ソ連や東欧諸国がボイコットしたロサンゼルス五輪。世界の強豪を相手にできなかった具志堅氏も無念だったろうが、内村は見事、再び世界の頂点に立ってくれた▼五輪は自分自身への挑戦とプレッシャーとの闘いだ。金メダル確実といわれても、やり遂げるのは簡単ではない。「夢のよう…。日の丸を見て、本当なのかなと思った」と内村。さわやかな笑顔と感動をありがとう。(P)


8月2日(木)

●最近、さまざまな問題が表面化している生活保護。制度の趣旨を否定する人はいないが、運用面で課題が多々、指摘されている。一方で解せないのが、働く人に保障する最低賃金(時給)▼国の審議会は7月末に全国加重平均で7円の引き上げ目安を示した。だが、生活保護水準以下という都道府県がなんと11もあるという現実は、どう頭を捻っても理解に苦しむ。北海道はその最たる地である▼現在705円だが、生活保護の時給換算と比較して30円も低い、というのだから。一概に決めつける考えはないが、働いている人は立場がどうあれ、何らかの責任を担っている。賃金はその報酬であり評価▼なのに、この金額以上ならいい、と国による最低ラインの提示は、見方を変えると、低賃金のお墨付き。それでなくとも嘱託、契約、派遣、パートなどの非正規雇用が増えている。その賃金が上がらないとなれば…▼その先にあるのは、所得が増えないから消費も伸びない悪循環。税や年金の未納などにもつながってくる。それより何より最低賃金法の趣旨…「働く人の収入が生活保護費を下回らない」を逸脱している現実をどう考えるか。議論が必要な段階にきている。(A)


8月1日(水)

●「来ませんか来ませんか わたしの故郷へ」−。今年に入り、この曲を聞いた人は多いだろう。“函館の歌姫”暁月めぐみさんの「ふるさとになりたい」だ▼09年に発売したこの曲が脚光を浴びるきっかけは、昨年道南で開かれたNHKのど自慢予選大会で地元の女性が歌い、当時、同函館放送局長だった正田真氏が気に入ったことだった。同放送局開局80周年を記念する番組のBGMに起用された▼正田氏は道南の団体や企業に「この曲を函館市制施行90周年のテーマソングに」と呼び掛けた。公式曲にはならなかったが、JRA函館競馬場、エア・ドゥの機内オーディオ、函館野外劇、ケーブルテレビNCV、函館港花火大会で曲を流し、市民や観光客にPRした▼暁月さんは子供のころから道南各地のカラオケ大会で優勝を重ね、1990年にNHKのど自慢全国大会に出場。これをきっかけに故中山大三郎氏の内弟子として東京で活動を開始。今年はデビュー14年目▼暁月さんのブログによると、1日に市民会館で開かれる市制施行90周年記念式典に出演するという。公式の場で歌うには感慨深いものがあるだろう。苦労人を応援する市民が増えることは間違いない。(R)