平成26年12月


12月31日(水)

年末に欠かせないのはベートベンの『交響曲第9番』だ。「ああ友よ、そんな調べではなく、声を合わせて朗(ほが)らかに、喜びあふれる調べを歌おうではないか」—悲惨な災害が多かった今年こそ歌わなければ▼第九が日本で初めて演奏されたのは96年前。鳴門市の収容所で、第一次大戦のドイツ人捕虜たちが手作りの楽器などでオーケストラを編成、最終楽章まで見事に演奏したという▼特に最後の「歓喜の歌」は日本人好みで、各地で高齢者らの草の根合唱団が練習を重ね、ドイツ語の歌詞を歌いこなしている。戦後、貧しかったプロのオーケストラが「もち代稼ぎ」に始め、日本の年末の定番になった▼レミオロメンの『大晦日の歌』でも「静かなる星のハーモニー 響き渡る大晦日の歌 人それぞれの第九のように… 今年を振り返る」と、第九の響きを背に年越しソバを買いに行く風物詩が歌われている▼ソバは細く切れやすい緬。大晦日には「1年の災厄を断ち切る」という年越しソバを食べる。第九を聴いて、歌って、爆弾低気圧による惨事、御嶽山噴火による悲劇などを断ち切り、希望の光を、生きている実感を全身で味わいたい。函館名物の「クジラ汁」を食べて、除夜の鐘も撞(つ)きたい。(M)


12月30日(火)

年末のテレビで楽しみにしているのが格闘技中継だ。大みそかに民報3局で総合格闘技を中継していたときには、ひんぱんにチャンネルを変えて注目カードを追っていた。タイミングを失敗してKOシーンを見逃してしまうこともあった▼運営団体の問題もあって総合格闘技のブームは下火になり、近年の格闘技中継はボクシングが中心だ。ことしも30、31の両日に世界タイトルマッチが東京と大阪で計8試合も行われ、ほかの試合も含めて放送される▼1960年代前半にもボクシングが大みそかに中継されていたようだ。具志堅用高さんが全盛期の70年代、辰吉丈一郎さんらが活躍した90年代に続き、現在は4度目の日本ボクシング黄金時代だという声もある▼ただ、現在は4つの団体で17階級の世界チャンピオンがいる。スーパー王者とか暫定王者などもいて、王者や世界戦の価値が問われることもしばしば▼もちろんKO防衛を重ねている内山高志選手らの実力は疑うべくもない。井上尚弥選手、井岡一翔選手ら若くて才能あふれる選手の戦いにも期待したい。格闘技ファンの年末の楽しみが続くよう、マニア以外も観戦する年末のゴールデンタイムに内容の濃い試合をみせてほしい。(I)


12月29日(月)

「タラバガニはどこに消えた?」。年末になると道内各地の市場や販売店にずらりと並ぶカニの王様が、今年は激減している。しかも、通常でも1㌔5000円はする高級品が、3割以上の値上げを余儀なくされているという▼理由は明白。日本とロシアが結んだカニ密漁・密輸防止協定が今月10日に発効されたためだ。輸入量は前年比2割に激減。業者間で少ない供給量を奪い合う形になっている▼違法取り引きを防止する協定により輸入量が減ったのは、いかにこれまで正規のルート以外を通じてタラバガニが流通していたかというの証明にほかならない。庶民にはめったに口に入らないごちそうの多くが、闇の経路をたどっていたと考えると複雑な心境だ▼函館の朝市でも影響は出ている。筆者の知り合いの業者は「稚内との独自の仕入れルートがあるので繁忙期を乗り切れそうだが、同業者の多くは苦しい状況に陥っている」と嘆く▼おそらく年に一度、正月のぜいたくとして家族や親戚とタラバガニを囲むことを楽しみにしている人も少なくないだろう。そのささやかな幸せも、このままでは失われてしまう。業者にとっても、消費者にとっても最善の解決策はないのだろうか。(U)


12月28日(日)

かつて日本女子大の学生が理科実験に使っていた作業衣、かっぽう着が似合う理化学研究所の小保方晴子さんが製作したSTAP細胞は「存在しない」と否定され、今年最も期待された研究の夢が消えた▼体のあらゆる組織の細胞になる万能細胞の画期的な発見と注目を集めたが、画像の捏造や論文の不備などが指摘された。理研調査委は「既存のES細胞が混入していた」と結論。しかし、どうやって混入したかは不明という▼「STAP細胞はあります」と3カ月の実験検証。第三者立会い、監視カメラ付きの部屋。疑いや不信の視線が突き刺す重苦しい空気での実験は辛かっただろう。論文の共著者は自殺に追い込まれた▼論文のずさんさが浮き彫りになった。共著者らが研究不正を見落としたのは論文の発表を焦ったからか。特許や研究費獲得などに目が向いていたのか。理研には不正を見破るセンサーがなかった▼「若い女性の快挙」「かっぽう着は勝負服」と大騒ぎし、難病治療にも役立つ再生医療の進歩に待望されたSTAP細胞は残念な幕引き。若い女性科学者は詳しく語らないまま、舞台を下りた。理研は残る問題点を洗い直し、科学者には研究のあり方が問われている。(M)


12月27日(土)

「地方創生」は現内閣の重要政策の柱の一つ。担当大臣を置き、有識者会議を設置するなど、これまでにない姿勢を打ち出している。地方で仕事を増やし、人を増やすという目標は分かるが、いまだ総論の域▼「国など公共機関の地方移転や農業の成長産業化などを通して、地方を活性化させ、東京の一極集中を是正する」。この発想に誰しも異論を挟む余地はない。ただ、考え方だけでは…大事なのは目標設定であり誘導策▼かつての「地方の時代」は、名倒れに終わった。「地方創生」が同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかないが、だからといって慎重になりすぎても。読売新聞が先日報じていたが、人口の移動目標にはそんな思いが過る▼一般的に一極集中の是正というからには大胆な取り組みを期待する。確かに容易な話ではないが、6年後に東京から地方へ3万人増やし、地方から東京へは7万人減らす、という目標はどうなのか▼地方の人口増対策は「地方創生」の大きなキーワード。だとすると、この程度では恩恵を受ける地方は限られるのでは、と思う人も出てこよう。まだ緒についたばかり、政策評価は早過ぎるが、こうして一つひとつに反応があるのは期待の裏返しにほかならない。(A)


12月26日(金)

年を取ると無性に昔の映画が観たくなる。きょうは60年前の「二十四の瞳」。新米先生は出欠をとるときも「何て呼ばれているの」などと向き合って会話。小学1年の担任の先生は親代わりで、子供も話しかけたい相手▼かつては1学級50人のすし詰め。それが40人になり、4年前には35人に。今度は財務省が「35人学級」の見直しと「40人学級」の復活を打ち出した。40人体制になれば先生が4千人減り、経費は86億円減る計算▼もう一つの理由はいじめ問題。1年生のいじめの割合は35人学級導入前の10%に対し、導入後は11%に増加、改善が見られなかったと結論。しかし、いじめは学校側が積極的に把握した結果、隠れていた実態が浮上しただけ▼40人学級にした場合、いじめや暴力の発見、防止に努力している先生が意欲をなくすのでは。財源論だけでの導入はいただけない。むしろ学校現場では先生の多忙が解消されず、増員を求める声が強い▼経済協力開発機構によると、加盟国の大半は1学級20〜30人程度を目安にしている。国内総生産に占める日本の公的教育費は最低ランキング。「二十四の瞳」だからこそ親代わりになれる。「八十の瞳」では向き合って話せず、優しい目は届かない。(M)


12月25日(木)

毎年、この時期になると、一年を振り返る十大(重大)ニュースが報じられる。人間の記憶の悲しさで忘れがちだが、思い起こすと、なぜか明るい話より、暗い話の方が多く浮かんでくる▼ことしも明るい話がないわけでなかった。ソチ冬季五輪での羽生結弦選手らやテニスの錦織圭選手の活躍。そして富岡製糸場や和紙の世界遺産登録もあったし、LED開発で研究者3人のノーベル物理学賞受賞も▼ただ、それにも増して多かったのが暗い話。ともかく災害が相次いだ。2月には関東甲信が大雪に見舞われ、8月には広島で74人が死亡したゲリラ豪雨による土砂災害、9月には63人が犠牲になった御岳山飲噴火…▼社会的には危険ドッラグ吸引による交通事故の多発が問題に。政治の分野に目を移すと、消費税が8%に上げられたほか、集団的自衛権の限定容認などがあり、12月には衆院の解散総選挙で揺れた▼新聞界では朝日新聞の慰安婦報道の一部撤回問題もあった。国内の出来事を軽くなぞっただけでもこれほどだから、国際的には…ウクライナの危機や韓国の旅客船沈没、エボラ出血熱の発生などなど。どうやら今年も「ダメよ?ダメダメ」が多い年だったようだ。(A)


12月24日(水)

テレビのニュースに思わず目を疑った。暴徒化した人たちの荒々しい様子は、香港の反政府デモでも、アメリカの人種差別デモでも、通貨危機のロシアでもなく、紛れもなく日本の出来事だった。1枚2000円の電子マネーを購入できず人々が怒りを爆発させた姿だった▼東日本大震災の被災者が支援物資を受け取る際に秩序を守って整列する映像は、日本人の美点として世界中から驚きと賞賛を集めた。しかしこの日の東京駅にはその精神のかけらもなかった▼騒ぎの原因として、発売元のJR東日本の対応のまずさが指摘されている。ネット販売が一般化している時代に、多くの人たちが集まることを予想できず直接販売に踏み切った読みの甘さは非難されてもしょうがない▼一方で、単に記念カードを手に入れたいためではなく、転売目的の人たちが多く集まったのが混乱につながったのではとの声も。実際に発売直後にはネットオークションで1枚8万円での取り引きも見られた▼政治や経済問題で市民の怒りが爆発して起こる各国のデモや暴動に対し、個人の欲求が満たされない時に暴徒化するのが日本の特徴なのだろうか。今回の騒動から学ぶべきことは少なくない。(U)


12月23日(火)

子どもから大人まで読書離れがいわれて久しい。特に子どもの場合は、国語力との関係からも対策が必要とされ、学校現場では朝読書の取り組みなどが広がっているが、自治体としても…▼「読書への親しみを幼児のうちから」という願いから始まったのが「ブックスタート」。赤ちゃんと保護者に絵本などを入れたバックを贈るイギリス発祥の取り組みで、それを含め注目されている都市が八戸市▼本年度からこの「ブックスタート」に加え「マイブック推進事業」を導入した。市内の小学生に一人2000円のクーポンを配布し、市内の指定書店で、自分で本を選び、購入して読んでもらう、という取り組み▼その際は保護者同伴で、漫画やゲーム本、保護者が読むような本は対象外。低中高学年に分け推奨する本をリストアップしてはいるが、選択は自由。書店にとってもメリットがあるから趣旨通り対応する▼読書はこうした対応が即、成果をもたらしはしない。時間がかかることで、故に長期的な視点に立った取り組みが求められる。八戸市は掲げる「本のまち」へ踏み出したところだが、今後どう充実させていくか…書店業界などからも熱い視線が注がれている。(A)


12月22日(月)

樺戸集治監では、独房で2カ月ほど座体で仕事をさせられ3日間の減食、1人が座れるだけの暗室に3日間閉じ込められ脱走防止に両足に鉄丸の鎖を付け、搾衣を着せられる、などの罰則があった▼最も過酷なのは皮と麻でできた搾衣。バンドで締めて水をかける。体温で搾衣が乾きはじめると皮が縮み胴体が締め付けられ呼吸困難に。何度も水をかけると息も絶え絶えに(寺本界雄著「樺戸集治監獄話」)▼この「水攻め」の拷問が古今東西問わず行われている。米上院の委員会はブッシュ政権下のCIAがテロ容疑者に行った尋問の報告書を公表し「一部は拷問で、重要情報を得る効果はなかった」と指弾した▼拘束したテロ容疑者は119人。1週間寝かせなかったり、「溺死しかかる」ほどの水を顔に注ぐ「水攻め」の実態を明らかにした。同時多発テロの主犯格には183回の水責めが行われた▼テロ防止に「非人道的な拷問」は必要なのだろうか。容疑者は「イスラムの教えに従い耐えたが、水責めは忍耐の限界を超えた」と話している。先日はパキスタンでイスラム武装集団が学校を襲撃し、130人以上の生徒が殺害された。無慈悲なテロが学校にまで及ぶのが悲しい。(M)


12月21日(日)

日本気象協会が気象予報士100人と一般500人に聞いた「今年の天気を表す漢字」では、気象予報士の1位が「災」、一般の1位が「雨」。ほかにも「荒」「雪」「曇」が上位に入った▼同協会が選んだ「お天気10大ニュース」では、1位が関東甲信越の記録的大雪で、2位以下に死者・行方不明者が63人となった9月の御嶽山噴火、広島市で大規模な土砂災害が発生した8月の西日本豪雨、9月の北海道など1年間で3回の大雨特別警報などが入っている▼つい先日も、発達した低気圧の影響で「数年に一度の猛吹雪」が予想された。道南で大きな被害がなかったとはいえ、道内各地では大雪や強風に見舞われ、建物の損壊や犠牲者も相次いだ▼漢字やニュースで振り返ると、災害や天気の悪さが印象に残る1年だった。昨年も道内では猛吹雪での遭難があったほか、全国各地で記録的大雨や大雪、竜巻、台風などの被害が出るなど、近年は気象災害が相次いでいる▼さて来年の天気はどうなるのだろう。同協会調査では、当然のように「晴れが多い」「豪雨が少ない」との希望が上位。何より災害のないことを願うとともに、「晴」とか「快」といった漢字が年末に思い浮かべばいいのだが。(I)


12月20日(土)

東日本エリアで転勤を重ね、昨年春から札幌で勤務し、道内を回っている友人と会う。冬でも車で出張し、何度も函館に来ている彼がたびたび口にするのは「札幌も悪いが、函館の運転マナーは悪いね」▼全道的に感じるのは速度超過という。道南の道央道では、時速70㌔規制の区間で順守していると、後ろの車がぴったりくっついて、運転席で声を出して怒っているのが分かることもあるという▼札幌や旭川市内では突然の車線変更、減速に困るという。「レンタカー利用者らがまちに戸惑いながら運転しているのかもしれない。特に駐車場を探している様子が多い」と指摘▼函館では、横断歩道で歩行者の安全を妨害する場面を見るのに驚くという。人から1㍍以内を通過するのを、20回ぐらいの来函で2、3度見たという。「東京では歩行者等保護義務違反で取り締まりを受けることが多いので考えられない」▼今週、歩いて駐車場へ向かう交差点で、青信号になり数人が歩き始めたら、右方向から3台の車が続けて来て、最後の運転手からにらまれたと怒る。「歩行者が怒らないのも不思議」と苦笑。雪で渋滞が多くなる季節。横断歩道ばかりでなく、歩行者の安全に十分配慮を。(R)


12月19日(金)

国政選挙の結果は民意の反映といわれる。だが、得票数が議席数と比例しているかどうかとなると話は別。現実は票でなく、議席を多く取った方が勝ち。ということは、議席数イコール民意の反映ではない、となる▼そうさせているのが、ほかならぬ小選挙区比例代表並立制という今の選挙制度。事前の世論調査結果と選挙結果を比較すると分かりいいが、今回の総選挙からも矛盾が浮かび上がる▼望ましい選挙結果を問う共同通信の公示前調査で、51%が「与野党の勢力伯仲」と答えている。争点の一つ経済政策「アベノミクス」に対する評価も半々だった。だが、議席数でみると選挙結果はそうなってはいない▼小選挙区で絶対得票率が24%の自民が得た議席比率は75%にのぼる。一向に進まないが、議員定数の削減を含め、制度の見直しが叫ばれる理由もここにある。そして、それは投票率の下落傾向となって表れている▼今回の総選挙の全国平均は戦後最低の52%。期待しても変わらない、選挙区に投票したい候補がいない…。確かに棄権も、白票も意思表示には違いないが、だからといって、目をつぶってもいられない。どうするか、改めて知恵が求められている。(A)


12月18日(木)

「姑息」=一時逃れ、間に合わせに行うさま(講談社日本語大辞典)。どさくさに紛れて物事を行う際にこんな言葉がよく用いられるが、ここまで姑息な手段もないだろう▼電源開発が大間原発(青森県大間町)の稼働に向け、新規制基準への適合審査を原子力規制委員会に申請した。衆院選が終わった直後のタイミングを狙っていたとしか言いようがない。差し止め訴訟を起こした函館市や、建設に反対する道南の住民の意見に耳を貸すこともなく、強行突破を図る姿勢には到底、納得がいかない▼大間原発はプルトニウムとウランを混合したMOX燃料を、最終的に全炉心に装荷する世界初の商業炉だ。核分裂を制御する難しさや活断層の存在、それにテロ対策が十分でないなど問題点は数多い▼規制委は慎重に審査する方針だが、電源開発が見込む審査期間はわずか「1年程度」。避難計画などソフト面は審議されることはなく、言うなれば自治体への「丸投げ」だ▼さらに規制委は使用済みのMOX燃料を再処理するための、第2再処理工場が必要との見解も示す。「トイレなきマンション」とは言い得て妙。核燃料サイクルという幻想を、この国はいつまで追うのだろう。(C)


12月17日(水)

♪ないしょ ないしょ ないしょの話はあのねのね〜 友達の悪いことを人に言わないと約束したのに、母親の耳元で話してしまった。学校へ行ったら先生や友達に叱られるかな…▼国家の安全保障に関わる秘密を守るための特定秘密保護法が施行された。特定秘密の対象は防衛、外交、特定有害活動(スパイ活動など)防止、テロ防止の4つで、機密漏えいに厳しいおとがめがある▼一般市民も例外ではない。秘密漏えいをそそのかしたとされると、最高刑は公務員らの半分の懲役5年。かつて、沖縄返還をめぐる日米密約の存在を否定していた機密をすっぱ抜いた記者が有罪判決を受けている▼国民の知る権利や報道関係への配慮はうたわれているが、具体的にどんな行為が違法なのか理解しがたい。懲役5年の裁判で「何をしたというのか」と叫ぶ市民に「それは秘密です」と言う光景が現実になるかも…▼この法律は施行後1カ月間の意見公募を経て、5年後の見直しを盛り込んでいるが、知る権利や表現の自由が閉ざされてはいけない。酒席の多いこの季節、隣り合った人と杯を重ねているうちに、重大な秘密に近づいているかも。こっそり母さんにささやく「ないしょ話」ならほほ笑ましい。(M)


12月16日(火)

欧米各国から働き過ぎといわれた我が国。いや「いわれた」ではなく、正しくは「いわれている」の域を脱していない。週休2日制が定着し、有給休暇の制度化も進み、労働環境は改善されてはきたが▼それでも諸外国に比べるとまだまだの域。エクスペディアジャパンが先日発表した有給休暇の消化率調査(主要25カ国対象)結果も示している。年間支給日数は、世界の平均25日に対し、我が国は20日▼そう大きく変わらないが、注目しなければならないのは消化の有無。フランス、スペイン、オーストリアなど100%消化の国が複数ある一方で、我が国は、というと50%(年間10日)。韓国に次いで低い▼確かに完全消化をうながしている企業はある。だが、それは極々一部で、ほとんどの企業…特に中小零細企業では、それとはほど遠いのが現実。同僚に対する気兼ねなど国民性が災いしているという見方もある▼それは長期で休みを取る率が低い実態にも表われている。有給休暇はいくら支給日数が設けられても、消化できなければ意味がない。政府は成長戦略の中で2020年70%の目標を掲げているが、その道をどう開いていくのか、答えは届いていない。(A)


12月15日(月)

師走の衆院選が終わった。事前の予想通り、全国的には自民党が圧勝、1強多弱の構造が維持された。そうした中で道8区は逢坂誠二氏が勝利、前田一男氏は比例で復活を果たす結果となった▼「大義がない」「争点がない」「政権選択につながらない」…。こうしたムードを反映し、投票率は全国で戦後最低の52%となり、函館市も51・66%とワースト記録となった。半数近い有権者が票を投じなかったことは残念だ▼だからといって、有権者が現政権にすべての政策を白紙委任したわけではない。8区で逢坂氏が勝利したのは、その現れだ。道内では1、6区でも民主候補が勝利し、前回より接戦となった選挙区も多い▼8区で勝敗を分けたのは大間原発への対応が大きい。道内でみれば、経済政策「アベノミクス」が地方に恩恵をもたらしていないことへの不満、農業者らのTPPへの不安などが表出した結果だろう▼今後、原発の再稼働や集団的自衛権の行使容認に伴う法整備など、国民の世論を二分する問題も控える。選挙戦を通じ、こうした問題に関して与党は多くを語ってない。政権に対する監視は、より一層強めていかなくてはならない。(I)


12月14日(日)

師走に総選挙があったおかげで、お歳暮など贈答品を控える動きが懸念されたが、函館市内の百貨店では大きな影響はないことが予想されると今月上旬の本紙が報じた。15日からは商戦が盛り返しそうだ▼時期を問わず、贈答品などに利用される代表格に「ビール共通券」がある。わが家は百貨店の商品券を頂くと「何を買おうか」と考えるが、ビール券だと皆笑顔になる▼全国酒販協同組合連合会(東京)によると、ビール券は昨年度、5139万枚、338億円分を発行。11月に全国の主婦1000人を対象に行った利用実態調査によると、73・7%の人は使用経験があり、このうち81・9%がこの1年に買ったり、もらったりしている▼「どこでも使える」「ちょっとしたプレゼントに良い」と好評で、利用が多いわけだが、ビール券に有効期限があることを知らない人は約半数の49・8%。コンビニで使えることを知らない人は57・2%もいることも分かった▼さらに、家庭内で使っていないビール券があるという人は25・1%で、全国で約679億円分にもなるという。年末の大掃除を迎える時期。万が一の「期限切れ」に嘆かないように、眠っている1枚がないかを探してみては。(R)


12月13日(土)

映画雑誌「キネマ旬報」を発行するキネマ旬報社が発表した「オールタイム・ベスト日本映画男優・女優」で、女優の1位は函館出身の高峰秀子さんだった。評論家や文化人ら映画に造詣の深い181人のアンケートで決まったそうだ▼世代的に高峰さんの全盛期を知らないので、ちょっと調べてみた。5歳のときに東京に移り、すぐに天才子役スターとして活躍。戦前・戦後を通じ、日本を代表する監督の作品に主演し、「二十四の瞳」「浮雲」など映画史に残る数々の名作を残しているという▼ちなみに男優の1位は三船敏郎さん。先日亡くなった高倉健さんは勝新太郎さんと並んで4位に入っていた。同社は「いい監督の作品に出たいい俳優が選ばれた」としている▼函館では先日、20回の節目を迎えたイルミナシオン映画祭が盛大に開かれた。シナリオ大賞受賞作品を映画化する準備を進めている。函館で撮影された「そこのみにて光り輝く」は、モントリオール世界映画祭で最優秀監督賞を受賞したことも記憶に新しい▼地方都市の中で、函館は映画に対する取り組みが際立つ。日本で最高という評価を受けた大女優が生まれたまちということも、どこかでつながっているのかもしれない。(I)


12月12日(金)

「おばさんの○○、名義が本人でないらしく、解約できないけど(名義人が誰か)分からないかな」「業者の方では教えてくれないの?」「個人情報に関するとか言って駄目なんだよ」▼「じゃ、どうすればいいんだ」…このやり取りは、子どもがいなく一人暮らしだった叔母が介護施設に入った後の後始末の一コマ。認知症だから本人に聞いたところで「私だよ」という答えが目に見えている▼幸い、ひょんなことから判明して一件落着したが、これは事例の一つ。ほかの手続きでも本人確認が必要とか、何度も足を運ばなければならないことも多々。今の時代だから仕方がないのだろうけど、正直言って大変▼核家族化が進み、お年寄りの独居が増えている。子どもがいても遠く離れた地で暮らしていると、いざ代わりに、と思っても、手間も時間もかかる。せめて記録でもあれば、確認の手間は省ける▼もちろん法的に認められた代行者に依頼する道はある。そうするにしても、大事なのは後始末に必要な事項を予め書き置いておくこと。それは夫婦、家族がいるいないにかかわらず…まだ若いからと先送りせずに、毎年書き替えて。改めてこの一件が学ばせてくれた。(A)


12月11日(木)

野球のメジャーリーグやサッカーのヨーロッパリーグでは近年、たくさんの日本人選手が活躍するようになった。それでも日本人にとって難しい舞台となっているのが、バスケットボールの北米プロリーグ・NBAだ▼2㍍を超える長身の黒人選手が素早い動きからダンクシュートを決める場面を見ると、日本人がプレーするのは簡単ではないと感じる。代表でも男子は苦戦が続き、1976年のモントリオール以来、五輪出場から遠ざかっている▼その男子リーグが国内に2つあるために「育成や強化の効率が悪くなる」と問題視され、日本バスケットボール協会が国際連盟から無期限の資格停止処分を受けた▼このままでは日本代表の男女とも、リオデジャネイロ五輪に向けた来年秋のアジア予選に出場できない。女子は昨年のアジア選手権で優勝しており、男子リーグの問題と調整能力を欠く協会の責任で参加できないとなれば、たまったものではないだろう▼バスケットの競技人口は60万人といわれ、小学生のミニバスケをはじめ中学・高校の部活動など、裾野は広い。世界の壁は厚いだろうが、競技を統括する団体の責任で、壁に挑む機会さえ奪うようなことは絶対に避けてほしい。(I)


12月10日(水)

泣いたり、笑ったり、歌ったり、走ったり、幼稚園からは幼児の歓声…。子どもの自然の姿だが「遊ぶ声がうるさい」という苦情が増えており、各地で論争となっている▼子どもの声は騒音なのだろうか。10月、東京の保育所の近くで手オノを持った男が保護者を脅す事件が起きた。男は以前から「園児の声がうるさい」と訴えていたという。少子化で耳慣れない子どもの声が騒音に聞こえたのか▼ドイツでは近隣住民らが保育所を相手取り子どもの声や物音への苦情を裁判所に申し立てたこともあったが、「保育所や公園での子どもの物音は、環境に有害とはみなされない」ことを定めた法律ができた▼高齢者が多い町の夫婦に待望の赤ちゃんが生まれた。昼夜の区別なく泣き出す。若い夫婦は恐縮したが、お年寄りは「元気をもらった。毎日が楽しみ」と泣き声を待ち望んでいるという▼住民の反対で保育所開設が延期や中止されており、働く女性への支援にも影響が出かねない。人は勝手なもので自分に関係ないと思えば騒音、幸せを呼ぶと思えば音楽。「お騒がせしまーす」という選挙カーの音は幸せを呼ぶか、ただの騒音か。子に勝る宝はない。そう目くじら立てないで。(M)


12月9日(火)

小型犬を飼い始めて2年半。深夜に帰宅しても、しっぽを振りながら出迎えてくれる愛犬の姿に、いつも癒やされている。かわいがるだけで、しつけは家人にまかせきりのダメな飼い主ではあるが…▼先日、犬や猫の保護などに取り組む「南北海道動物愛護ネットワーク『みらい』」の「活動写真展」がJR函館駅で開かれた。4年間の譲渡会で401匹の里親が見つかったそうで、函館保健所の殺処分数が減少傾向となっている背景には、同団体の活動成果もあるだろう▼一方で、栃木県をはじめ全国各地で犬の大量遺棄が発覚している。ブリーダー(繁殖業者)やショップ、飼い主から不要になった犬を引き取り、転売する「引き取り業者」という存在も浮かび上がった▼ペットフード協会の昨年の調べでは、全国の犬と猫の推計飼育数は2000万匹を超える。大半の飼い主や業者は責任を持って飼ったり、販売したりしているのだろうが、中には心無い扱いを受けている犬や猫がいるようだ▼愛犬の姿を見るにつけ、ペットにかかわりを持つのなら、飼い主も業者も最低限の愛情は持ってほしいと思う。自分としても、愛犬が他人に迷惑をかけないようにすることだけは心掛けたい。(I)


12月8日(月)

11月中は気温が高く降雪もほとんど無かったため、冬が本番に入っていることを忘れかけていたが、ここ数日の冬将軍到来で一気に気持ちは真冬モードに切り替わった▼これからの時期、特に大変なのは除雪作業。早起きして雪かきをしなければならないのは苦痛以外の何物でもない。しかし、道南以北の住民からは「この程度の積雪量で文句を言うな」とお叱りを受けるだろう▼筆者の実家は札幌市に隣接する北広島市。正月時期に帰省した際には毎朝1時間弱の雪かきが日課で、ひと風呂浴びたように汗びっしょりの状態になる。これを現地の人たちはほぼ毎日続けているのだから頭が下がる▼北海道の他地域に見られない、道南ならではの冬の情景のひとつに、自転車に乗っている人たちが多いことも挙げられる。筆者が初めて函館の冬道で車を運転した時、多くの人たちがふらつきながらも懸命にペダルを漕いでいる姿に驚かされた▼小中高などでは校則によって冬場の自転車運転は禁止されているが、社会人にそのような規制条項は設けられていない。しかし明らかに危険なことは間違いない。それぞれ事情はあるだろうが、できれば冬場の自転車運転は自粛してもらいたい(U)


12月7日(日)

JRの東日本と北海道が上野|札幌間の寝台特急「北斗星」を廃止する方針だ。1988年の青函トンネル開通を機に誕生した「夢の豪華列車」は、「夢の超特急」北海道新幹線開業を機に姿を消すといえる▼運行開始当時の新聞によると、列車名は公募だった。得票数1位は「北海」、北海道らしい「タンチョウ」や「オーロラ」が上位で「北斗星」は108位だったが、夜行列車は天体名にちなむという慣例から選ばれた。引退は惜しい限りだ▼日本の鉄道でなくなるのはブルートレインばかりでない。ホームの弁当販売は珍しくなり、駅の立ち食いソバ店も減っている。さらに、一部のJR会社では、特急列車の車内販売も廃止している▼理由は駅近くにコンビニが多いことだ。弁当は駅弁より安く、レンジで温めて味わえる。菓子、雑誌、飲料水も豊富で、これでは小さなワゴンの販売では勝負できない。そういえば最近、改札口を通る前に車内用の買い物を済ましてしまう▼道南の景色、食べ物、歴史といった旅で楽しんでもらう要素は不変。だが、旅のスタイル、感じられるだいご味は変わりつつある。夢を持って来る人の期待に応え、新しい時代の流れに乗れるように要素を磨くことが必要だ。(R)


12月6日(土)

車を運転中、後ろの車からあおられた経験を持つ人は少なくないはず。多くの場合、追い越し禁止区間だが、例え法定速度を超していてもそれ以上で煽られると、さらに速度を上げなければならない▼同時に、後ろが気になって、運転もそぞろになりがちになる。その場合の対処の仕方として考えられるのは大きく三つ。一つは後ろの車に合わせて速度を上げるか、前に車があれば追い越して回避する…▼もう一つは場所を選んで停車し先に行かせる、そして三つ目は左ウインカーを出して追い越させることだろう。このうち最初の方法だと、道交法違反に問われかねないが、それがやむをえない行為なのかどうか▼誰しも聞いておきたい答えだが、裁判所も悩ますようで。北海道新聞などが報じていたが、あおられた結果として速度違反に問われた男性が起こした裁判で、一審(地裁・無罪)と二審(高裁・有罪)では判断が分かれた▼一審は「緊急避難が成立する」としたのに対し、二審は「道路左側に退避できたはずで、緊急避難には当たらない」と。現場の状況はそれぞれで一律には言えないが、少なくとも自分がリスクを背負う必要はない。そこに自ずと答えが凝縮されている。(A)


12月5日(金)

「政治の役割には二つある。一つは国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。もう一つは、これは最も大事です、絶対に戦争をしないこと」▼「なんでゲートルを巻いて戦闘帽かぶって竹槍を持たされたのか。二度とああいう経験は子どもたちに(させてはいけない)」。昭和8年生まれの菅原文太さんの“最後の舞台”は沖縄県知事選の応援演説▼ファッションモデルから俳優の道へ。映画初出演の「哀愁の街に霧が降る」から、暴力団抗争をリアルに描いた「仁義なき戦い」シリーズ、乱暴だが情に厚い「トラック野郎」シリーズと次々大ヒット▼3・11を機に「映画を撮っている場合じゃない」と引退し、有機農業の道へ。耕作放棄地でライ麦や野菜を栽培。古里の被災地にも心痛めて「自分がメシを食わなくても復興させなければ」と政治の無力さを嘆いた▼7年前にがんを発症してから、生命の大切さ、平和の大切さを訴え、政党と関係のない「いのちの党」を結成。脱原発を主張、特定秘密保護法にも強く警鐘を鳴らした。折しも「大義なき衆院選」が始動。高倉健さんを追うように旅立った文太さんの「絶対に戦争しない」という最後のメッセージを肝に銘じてほしい。(M)


12月4日(木)

今年も残すところ1カ月を切った。個人的な思いはともかく、社会的には明暗さまざまな出来事があった。年末には新聞などの十大ニュースで振り返えらせてくれるが、その前に…▼今月1日、毎年恒例のユーキャン新語・流行語大賞が発表された。選ばれたのは女性お笑いコンビが産み出し、老若男女が日常的に使って風靡(ふうび)した「ダメよ〜ダメダメ」。そして議論のあった「集団的自衛権」▼このほかトップ10には「危険ドラッグ」「マタハラ」「レジェンド」などが。いずれも世相を垣間見せる言葉だが、この大賞が始まった1984(昭和59)年からひも解いてみると、懐かしさも込み上げてくる▼「新人類」「IT革命」「想定内」「アラフォー」「品格」などがあり、ちなみに昨年は「今でしょ」「倍返し」。今年もあったが、過去には「無党派」(955年)に始まって政治絡みの言葉が結構、選ばれている▼「マニフェスト」(2003年)「小泉劇場」(05年)「政権交代」(09年)などなど。その政権交代が、再度交代し、今まさに総選挙まっただ中。「消費増税」「アベノミクス」「原発」「基地」「TPP」「選挙制度改革」…舌戦にも大事な言葉が詰まっている。(A)


12月3日(水)

師走の訪れとともに函館が強い風と寒波に見舞われた中、衆院選がきのう公示された。政権交代に直結した過去2回の衆院選では、全国と同様に函館でも政党に対して強い風が吹いた▼8区では2009年8月の前々回、民主党の逢坂誠二氏が政権交代の勢いに乗って17万票を獲得し圧勝。12年12月の前回は前田一男氏が自民党として小選挙区初勝利を飾り、政権奪還に貢献した▼道内小選挙区もくっきりと明暗が分かれた。09年は民主が11勝1敗と大勝し、12年は自民・公明の候補が全勝した。全国的に自民が大勝した「郵政選挙」の05年でも道内の民主は8勝と健闘していたが、前回は比例の2議席のみだった▼小選挙区制度では第1党が得票率以上に議席を獲得し、極端に勝敗が偏る傾向がある。ましてや国民の多くが支持政党なしの無党派層といわれる現在、そのときどきの風向きが投票行動を大きく左右する▼今回の衆院選では今のところ、与野党どちらにも強い風が吹いているようには感じられない。だからこそ、党の政策そのものと、各候補の本当の実力が問われる戦いになる。「1強多弱」といわれる中で、師走の民意の風が最終的にどこに向かって吹くのか、注目したい。(I)


12月2日(火)

人は生きとし生きるものの命をもらって生きている。「6歳未満」としか伝えられなかった女児。東京で入院していた少女が脳死と判定され、両親が承諾して臓器移植のドナーとなった▼子供は「5歳までで一生分の親孝行」ともいわれるように、家族にとって無性にかわいい存在。すぐに訪れる最愛の我が子との別離、寂しさに心揺さぶられながら、死を受け入れざるをえない両親の決断▼「娘は進んでお手伝いをしたり、困っている子がいれば寄り添って声を掛けてあげたりするような心の優しい子でした。臓器提供という形で病気に苦しむお子さんを助けることに、娘は賛同してくれると信じています」▼両親は低酸素脳症の我が子に話しかけ、自問自答を繰り返したことだろう。心臓は10歳未満の男児、肺は10歳未満の男児、肝臓は10代の女性、腎臓は50代の男性と40代の女性に移植された▼4年前の改正臓器移植法で認められた15歳未満からの臓器提供は6例目で、脳死判定がより厳しい6歳未満は2例目。特に脳死判定前の児童虐待の有無の調査は我が子を前に悲嘆に暮れる両親にとって耐え難い。優しい少女とともに育った臓器が働き続けることを祈りたい。(M)


12月1日(月)

ひとつの長大な物語を数作に分けて映画化するスタイルと言えば、「ハリー・ポッター・シリーズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」の大ヒットが記憶に新しいが、その先駆けとなったのが「スター・ウォーズ」であることは間違いない▼第1作が公開されたのは1977年で、当時まだ小学生だった筆者は計4回も劇場に足を運ぶほどのめりこんだ。サウンドトラックやR2D2などのキャラクターグッズも買い求めては、壮大なスペースオペラの世界に思いを馳せた▼当初は全9部作が製作されるという噂が流れていたが、実際には第3作「ジェダイの帰還」が完成した時点でジョージ・ルーカス監督が「続編を作ることはない」と明言。筆者は幻となった続編を妄想して楽しんでいたりした▼ところが第1作公開から20年後にまさかの新作が登場。これまでのストーリーの前日談を描いた新3部作は、旧3部作からのファンを熱狂させるとともに、新しいスターウォーズマニアも生み出していった▼そして第1作公開から実に38年の時を経て、ついに最後の3部作が映像化される。旧3部作時代をリアルタイムで楽しんだ人たちの中には、子どもや孫のいる人も珍しくない状況。世代を超えてファンが増殖し続けている奇跡とも言えるシリーズの最新作の封切りが待ち遠しくてたまらない。(U)