2010年6月16日 (水) 掲載

◎函館でもW杯商戦熱く

 連日、熱戦を繰り広げているサッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会に関連した商品が、函館市内のスポーツショップやスーパーなどに並んでいる。レプリカユニホーム、ボールといった定番の商品の販売に加え、アルコールや清涼飲料水のセールなど、各店独自の工夫をこらし、人気を集めている。

 アルペン函館梁川店(梁川町15)では、日本代表のレプリカユニホームを1万395円で販売し、売り上げを伸ばしているという。24日まで、通常5345円の選手のネーム、背番号のプリント加工を無料で実施しており、同店の村瀬由康さんは「メガホンや、日本代表への応援メッセージを織りこむサムライブルーリングも売れ筋。入荷してもすぐ品薄状態になる」と話している。

 スーパースポーツゼビオ函館昭和タウンプラザ店(昭和1)では、ユニホームのほか、W杯公式球「ジャブラニ」が人気。価格は1万5309円で、合皮の商品は4914円と手ごろだ。同店では歴代W杯のDVDも販売しており、「タオルやTシャツなど低価格帯の商品も取りそろえている」とPRしている。

 スーパーや飲食店では、特別商品のセールなどを実施している。市内・近郊のグルメシティ全店では、食料品売り場にW杯の特設コーナーを設け、協賛メーカーによるアルコールや清涼飲料水のセールを展開。グルメシティ湯川店の渡辺信幸店長は「セールは18日まで行う。期間中、より多くの人に来てほしい」と話す。

 W杯期間中は連日、多くのサッカーファンでにぎわう、市内松風町15の「バー・オウンゴール」(福士将宏代表)では、日本代表の試合時に日本代表カラーを表現したオリジナルカクテル(500円)を特別販売。先着200人には同カラーのタオルハンカチもプレゼントしている。福士代表は「一緒にたくさんの人たちとサッカーを楽しみましょう」と来場を呼びかけている。(黒田 寛、小杉 貴洋)



◎函館映画で観光振興 函タクと金森商船が連携

 映画の街・函館を観光資源に―。函館タクシー(函館市日乃出町、岩塚晃一社長)と金森商船(同市末広町、渡邉兼一社長)は15日から、タクシーやバス車内で函館が舞台となった映画を上映したり、ロケ地マップや貴重な台本を展示したりする試みを始めた。函館の“絵になる”風景をPRし、異業種で連携して観光振興を図る狙いだ。

 戦前からこれまでに道南・函館を舞台に撮影された映画は70本以上あり、異国情緒あふれる街並みや海、山、坂道などが多くの映画監督を引き付けている。観光客が減少する中、「映画やテレビドラマのロケ地は人気が高い」(岩塚社長)ことに目を付け、両社が合同で企画した。

 函館タクシーでは、車内にDVDプレーヤーを備えたタクシー5台で女優の宮崎あおいさん主演の「パコダテ人」(2001年)や、俳優の小林旭さん主演の「ギターを持った渡り鳥」(1959年)など5作品の本編を上映。函館空港と市街地を結ぶシャトルバス7台では、オール函館ロケで函館では19日に封切りとなる辻仁成監督の「ACACIA(アカシア)」など7本の予告編を流す。

 また、函館ゆかりの映画のロケ地を貸切タクシーで巡る10コース(各1時間半、7950円)も設定。岩塚社長は「映像の使用許可を取るのに苦労したが、映画の中には函館の魅力や歴史的に貴重な風景が残されている。全国でも珍しいサービスで、映画の街という切り口から函館観光を盛り上げたい」と話す。

 一方、金森商船は15日から、赤レンガ倉庫群の「BAYはこだて」内のギャラリーで、女優の川原亜矢子さん主演の「キッチン」(89年)や竹内結子さん主演の「星に願いを。」(2002年)など4作品の予告編を大型テレビで上映。会場には作品のロケ地を紹介するパネルや出演者のサイン入りの台本なども展示している。

 いずれも通年企画で、今後は必要に応じて対象作品を入れ替える予定。ギャラリーは午前9時半―午後7時。タクシー、バスに関する問い合わせは函館タクシーTEL0138・51・3101。(森健太郎)



◎口蹄疫の消毒マット設置広がる…でも品薄

 宮崎県で被害が続く口蹄疫(こうていえき)の侵入防止対策で、農家のほか公共機関でも消毒マットを設置する動きが広がっている。道南でも函館空港国内線ロビーや渡島・桧山両合同庁舎に置かれ、住民らに協力を呼びかけ。その一方、消毒マットの品薄という問題も出始めた。

 函館開発建設部は15日、対策強化の一環として、各事務所の出入り口に消毒マットを置き、防疫の強化を図ることを決めた。ただ、業者発注のマットが品薄で「届くには7月末ごろまで時間がかかるかもしれない」という。

 今金河川事務所と八雲道路事務所は応急で、じゅうたんを切り、消毒薬をしみこませた特製マットで対応している。残る4事務所も、同様の処置を図る方向で進めている。

 函館開建の内海清明防災対策官は「全道的にマットが品薄になっていると聞く。その中でも迅速かつ柔軟に対応することが重要。職員と車両が農場に出入りする際の消毒徹底を図りたい」と話す。

 ホーマックスーパーデポ石川店(石川町231)では、この時期売り上げが落ち着くという園芸用の消石灰の売れ行きが、例年に比べ5割ほど伸びている。携帯用の消毒スプレーの問い合わせも、酪農施設などに立ち入る関係者から相次いでいるという。同店では「口蹄疫の報道以来、売り上げが上がっている商品もあるが、その関連性は分からない」としている。

 一方、ジャンボイエロー亀田店(亀田町21)の商品の流れは、平年とほぼ同じ。担当者は「今のところ、専用コーナーを設けるなどの考えはない」と落ち着いた対応をとる。(田中陽介、小杉貴洋)


◎自然の恵みに感謝 称名寺で「鯨族供養慰霊祭」

 道南近海のツチクジラ漁の解禁に合わせて、捕獲されたクジラに思いを寄せる「鯨族供養慰霊祭」が15日、函館市船見町の称名寺で執り行われた。市内の水産業者や行政、学術関係者ら計40人が参列。「自然の恵みに感謝し、この恩恵を後世に残そう」と供養に努めた。

 函館水産連合協議会(石尾清廣会長)の鯨普及部会(利波英樹会長)が主催した。同寺の須藤隆仙住職による読経の中、参列者が焼香し、祭壇に手を合わせた。

 須藤住職は、同寺近くの「鯨族供養塔」で10日、西中学校生徒がボランティア清掃に取り組んだことに触れ「子どもたちの活動に感銘している。クジラを含め、ただ食するのではなく、報恩の念を持ってほしい。この供養祭は意義深い」。利波会長は「今年で6回目の供養祭になった。クジラの仕事にかかわる者として、供養はクジラへの感謝の表れ。捕鯨を取り巻く環境は厳しい状況だが、クジラへのこの思いを忘れずに、この食文化を後世へ伝えるためにも」と力を込めた。

 慰霊祭後に、鯨族供養塔前で記念撮影。市民活動団体「函館暮らし連翔会」のメンバーがつくったクジラの折り紙がお守りとして渡された。(田中陽介)


◎吉堀トンネル改良工事、来年度着工へ

 【上ノ国】道は桧山南部と木古内町を結ぶ道道江差木古内線改良の一環として、上ノ国町・木古内町境にある「吉堀トンネル」に代わる新トンネル建設を来年度中に着手する方針を固めた。工事期間は2015年まで。同年開業する北海道新幹線木古内駅と桧山管内を結ぶ重要なアクセスルートになる。

 工事区間は、上ノ国町と木古内町の境界にある稲穂峠の頂上付近。全長150メートルの現トンネルは断面積が狭いほか、木古内側が急カーブのため、観光バスなど大型車の交差が困難になっている。道は全長1.3キロの新トンネルを建設。トンネルへの取り付け道路を含む整備区間は1.7キロ。総事業費は約63億円を見込んでいる。

 同線の整備改良をめぐっては、上ノ国、木古内、江差の3町が整備促進期成会を組織。桧山管内と新幹線駅のアクセス改善を求めてきた。工藤昇上ノ国町長は15日の定例町議会で「新幹線開業予定の15年度の供用開始を目指して工事が進められる。町としても事業の推進に協力したい」として着工決定を歓迎した。

 同線では09年に上ノ国町湯ノ岱の「天の川きららトンネル」が開通。上ノ国―木古内間で全線2車線化が完了し、本年度も新幹線開業に向けて急カーブの解消や橋の改修工事が進められている。最大の懸案だった吉堀トンネルの着工決定で、新幹線開業を見据えた同線の整備は新たな局面を迎えることになる。(松浦 純)